1日目で稜線まで登り切って、ついにここから縦走スタート。
この日も快晴で絶景の連続……だったのに、とにかく行程が長く、後半はかなりバテた……
昨夜の雷雨が嘘かのような穏やかな朝。昨年朝からガスられてしまった笠ヶ岳も、今朝はくっきり。
撤収作業を終えて、双六岳へ歩き始めたところで日の出。とてもタイミングが良い。
まずは双六岳を登り始める。
温存するなら巻道だったかもしれないが、そこまでコースタイムも変わらないし、せっかくなら観たい景色がある。
焼岳、乗鞍岳、笠ヶ岳方面。
この爽快な道を少し行って振り返ると———
そうそう、ずっとこの景色が観たかった。
まるで槍へ一直線に向かうかのような、豪快な景色。実際は、長い長い西鎌尾根が構えているのだけど……
そして、西を向けばこれから歩く黒部五郎岳、そして薬師岳が。と、遠い……
はっきりと圏谷(カール)地形であることが分かる黒部五郎岳。
そして白亜で広大な薬師岳。聞きしに勝る大きさ。
槍穂高をこの距離で観られるのはこれで最後。
次は三俣蓮華岳へ。
前回はガスで全く景色のなかったこの稜線。こんなに気持ち良かったんだ。
三俣蓮華岳からの鷲羽岳。南側身体とこの堂々たる姿なのに、水晶岳やワリモ岳からだといまいちその風格が伝わりにくい。
いったん、ここまで登ってきた標高を一気に捨てる。ここ(三俣蓮華岳)の方が高いのに……
雲ノ平越しの薬師岳。雲ノ平山荘も見える。次に狙うなら、やっぱりあそこかな。
南へ曲がる。ここからの笠ヶ岳の威容が素晴らしかった。
黒部五郎小舎。何も書いていないけど、ここまで「勘弁してください」と独りごちるくらい容赦無く樹林帯を下っている……
ここにはりんごとトマトが浮いていたので、またトマトを買ってしまった。貴重なナマモノを見ると衝動的に食べたくなる。
そこからはカールコースを選択。まずは緩やかな上り坂から———
この絶景。黒部五郎岳カール。涸沢カールももちろん素晴らしいけど、こちらの方が人が少なくて、秘境感や楽園感がまさっている気がした。その分、とっても遠いのだが……
もう一つのシンボル、雷岩。すごい割れ方だ……
ただ、そんな絶景もつかの間、ここからカールから脱出するための怒涛の登りが始まる。
心を無にして登ること40分、やっと肩へ。
ここに荷物を置いて、山頂を往復する。
やっと、この旅の最初の目的地、黒部五郎岳。想像のはるか上をいく素晴らしい景色だった。
薬師岳のはるか向こうに、立山、剱岳が控えているのは、いったん見ないことにしておく。
肩に戻り、昼食をとって後半戦へ。
ここから北ノ俣岳〜太郎兵衛平が長かった……体力的にも精神的にも……
写真は一気に少なくなる。ガスが湧いてきてしまったこともあるが、それは体力的にはラッキーなことだった。
木道が見えてからも長い長い……
太郎兵衛平。
一番最初の計画では、薬師峠キャンプ場でテント泊の予定だった。
しかし、お盆シーズンの夕方前、テントを貼れるかという懸念もあり、薬師岳山荘まで頑張ることにした。
そして、果たしてテント場は満員御礼で、僕たちの前を歩いていたテント装備のカップルが途方に暮れていた。
もう限界に近い身体に鞭打って樹林帯の急登をこなす。薬師平。
限界ではあるが、この景色の美しさに見とれるくらいの精神状態ではあった。ここもまた見事なカール。
小屋はちょっとした窪みにあるので、登りだと急に現れる。
西側のテラスが暖かく、ここで急ぎ夕飯の準備。
薬師岳も徐々に染まり始める時間帯。
そして一気に日の入へ。
あんなに近くに見ていた槍ヶ岳も、今やこんなに遠く離れてしまった。
こうして、この旅で距離的に一番長い一日が終了。
そして明日は、一番のアップダウンであるスゴ乗越が控えている……だからこそ頑張っての小屋泊だったのに、夜中に同室の真ん中からものすごい大きなうめき声に起こされる……
未だにまともな睡眠がとれていない……