ついに、ついにたどり着いた剱岳。憧れの剱岳。まさかこんなに順調に到達できると思っていなかった。
ただ、その名前は伊達じゃなく、この旅一番の険しさだった。
ただこの朝、トラブル(?)発生。ここまで同行してくれた友人だが、まだ岩場に自信が無いとのことでリタイアを申し出てきた。
僕自身が剱岳初めてだし、その自粛を振り切れるほどの経験があるわけでもないので、ここから先は僕だけでのアタック。残念ではあるけど、またいつか一緒に登れることを信じてる。
前剱から、剱沢のモルゲンロートを眺める。ここまでも不安定なガレ場が嫌らしかったが……
核心部はここから。鎖場が立て続けにやってくる。
そして、その大半の鎖場の写真を撮る余裕が、僕にはなかった。不安定な場所でいちいちサブザックからカメラ取り出すのも億劫で…
影剱。
コースタイムで2時間半くらいかかるので、この辺りから普通に登山としてバテ始める人続出。
有名なカニのたてばい。僕が出たのが早かったのか、この日がたまたまだったのか、待ったのはこの団体さんの列だけで、他は極めてスムーズに進めた。
たてばいが終わればもう登りの難所は終了。あとは黙々とガレ場を登るだけ。
ついに剱岳山頂。
これまで登ってきた山々(立山〜薬師岳〜黒部五郎岳)、そしてそれらをつなぐルートが一望できて、少しうるっときてしまった。「よく頑張ったね」と言われているようで(都合良い妄想)。
山頂は思ったよりも広く、みんなにここまで登ってきた一体感が生まれていた。
友人も待っているので、適度なところで下山開始。よくこんなところ登ってきたな、という場所を今度は下るわけで。それは登り以上に怖いわけで。
結局、前になんのお手本もないまま、急に現れたカニのよこばいに突入。よって写真なし。
ポイントは、勇気を出して下をのぞき込むことと、右脚を真下に下ろしてみること、かな?あまり覚えてない。
一服剱まで下りてきたら、とりあえずは難所終了と考えて良い。
剣山荘まで帰還。ここはまさかの水洗トイレで、水も無料だった。煮沸推奨の剱沢と全然条件が違う…
剱沢キャンプ場帰還。
友人の出迎えを受ける。がっちり握手。最後は一人になってしまったけど、ここまで一人では来られなかったんじゃないかと思う。本当にありがたい。
あとはのんびりと帰り支度をして、剱沢をあとにする。
剱御前小舎で昼ごはん。日替わりで、この日はラーメンだった。チャーシューも美味しかったけど、カレー食べたかったな……
下りは雷鳥坂で一直線。
噂通りの急坂で、登ってくる人たちはキツそうだった。
雷鳥沢で一息。雪解け水での水浴びも最後。
雷鳥沢はとてもピースフルなテント場。次はここを拠点にして、奥大日岳かな。
家族旅行のときに興味津々に歩いた地獄。今は通行禁止らしい。
帰りのバスまでバッファをとれたので、みくりが池温泉。5日間の疲れが硫黄泉に滲み出ていくよう。
量は控えめにということだったけど、久し振りのシャンプーとボディーソープが嬉しい。
みくりが池。逆さ立山を拝むことは叶わなんだが、そんなことはもうどうでもいいや。
こうしてゴールである室堂ターミナルに到着。これで全5日の長い縦走が終了した。
あとはアルペンルートを富山へ下るだけ。長野側という手もあったけど、せっかくだし(?)
夕方の富山駅。6日ぶりの都会……にしても暑い…!
新幹線の予約をして、早々にホテルにチェックイン。
そして夜の富山へ繰り出して、6日ぶりのちゃんとした料理。下界って天国だ。
この「とんぺい」っていう居酒屋、本当に大丈夫かってくらいリーズナブルで美味しいので、とってもおススメ。
こうして長きにわたる旅が終わった……のだが、この日は興奮でむしろ寝付けなかったという。
そんなだったのに、結局、次の日一日休んだら、もう次の山行のことを考えている。山旅に終わりなし。季節は秋へ。