「裏銀座」
表銀座を終えたときから宿題(夢)になっていた、憧れのルート。本当は去年やる予定だったのですが、設定した夏休みに低気圧がぶつかり見送りに。
それ以来、地図に視線で溝がつくんじゃないかというくらい見つめ続けて。そして仕事と天気を見比べて、3連休の前日に休みをつけることで実行の決意を固めた。
4時に七倉で下ろされる。時期がもう少し後だったら、5時半のゲートオープンからタクシーで入れるのだが、あいにく7月中旬は6時半まで開かない。
2時間半も時間を持て余すのはもったいないので、高瀬ダムまで歩き始める。がしかし……
いかんせん、トンネルが真っ暗で怖い……最初にソロに試されるのはここの精神力か…
ようやく山間にも朝が届き始める。
高瀬ダム。
見上げる稜線ははるか高く。
憧れ続けた登山口はひっそりとしていた。
北アルプス三大急登、ブナ立尾根。素敵な緑の中、怒涛の急登。よく言えば、かなり効率良く標高をかせぎとっていく。
視線を感じる……
はっきり言って、キツい。中だるみなく、延々と続く坂道。
初めてシャリバテらしき症状をおぼえる。
ようやく烏帽子小屋。たいていの記録では「思ったほど時間かからなかった」とあるけど、時間はかからなかろうが、この斜面はキツい。合戦尾根よりもはるかに厳しかった。
息をととのえてから、烏帽子岳へ。
これが烏帽子岳。
こちらから見て、裏側の斜面を回り込んで登る。
最後は鎖場をトラバース。
高度感はあるけど……いかんせん景色はイマイチ。早々に下りることにする。
烏帽子小屋でいったん祝杯。お昼ご飯にラーメンを食べ、ミックスナッツをボリボリ頬張る。
烏帽子小屋のテント場を通り抜け、裏銀座を再開する。
景色は良いが、もう体力は残り少ない。ほぼコースタイム通りの通過。
かなりしんどいので、分岐はお花畑コースをとろうと思ったが、この時期まだ雪渓が残っており、通行不可。稜線コースの一択。
精神的にはまいっているけど、この景色は紛うことなきアルプスだなと思う。アルプスを歩いているんだなって思う。それは、この上なく嬉しい。
岩陰からひょこっと現れた野口五郎小屋。昔ながらの山小屋の風情。
とりあえず、また祝杯。思えば、ストロングでもゼロでもない純粋なペプシって、最近北アルプスでしか見ていない気がする。
少し昼寝をして、早めに夕飯を済ませる。缶詰とご飯とスープの簡素なもので辛めだけど、今日1日失った塩分を考えれば足りないくらい。
自炊場で食べていると夕立ち。
それが終わると晴れ間が出来た。
山は気まぐれに、粋なはからいを用意してくれる。
明日はどんな景色を見せてくれるんだろう。夜行バスの寝不足と疲れもあって、19時には目を閉じていた。