辛かった。キツかった。美しかった。楽しかった。
だから僕たちは登山をやめられない。
1日目の続き。夜までは暖かかったが、結局夜中の2時に寒気で目が覚める。
星が綺麗だったけど、それ以上に月明りが頑張っていたので、写真には撮れなかった。
カロリーメイトをかじり、お湯を沸かしてそのまま飲む。ただのお湯がこんなに美味しい環境もない。
テントを撤収して、5時に登山開始。
うっすら明るくなってきた、壮大なトラバース。
そして始まる赤石岳への急登。遠くにポコンと出ているのはきっと恵那山。
やっと太陽の当たる場所まで出られた。そうしたら夢のような景色が待っていた。
富士山真上の太陽。
素晴らしい。が、これを見たときに思ったのは、「もしかしてダイヤモンド富士だったのでは」という、不確定の後悔。小屋で夜明けを待っていれば、もしかしたら……いや、それを考えるのは止めよう。
小赤石岳。向かい側が本峰。
分岐点。ここにザックをデポして最後のアタック。
辛くて長かったけど、「最後」と思うと少しさびしくもなくもなくもなくも…
というわけで、赤石岳山頂(3120m)。
南アルプス(赤石山脈)を赤石山脈たらしめている頂に立っている。
ここから北の眺めが秀逸。南アルプスの名だたる名峰が全て見てとれる。
もちろん、昨日登った荒川三山も……って、こう遠くから眺めるとなおさら「荒川二山じゃないか」と思ってしまうのは僕だけではないはず。
一方の南部は不案内。多分、手前の目立っているのが聖岳かな~くらい。
ありがとうアルプス、また来年!
さて、「2000mの下山」という過酷な運動が始まる。特に赤石岳直下のガレザレの急斜面の下りは特に注意が必要。
いったん急降下が終わると荒川小屋への長いトラバース。
道中の富士見平より赤石岳を振り返る。
そして荒川三山(悪沢岳)。
何度も眺めた富士山も、ここを下り始めると見えなくなるのでこれでお別れ。
9時半、荒川小屋。
ここで水分補給。残る行程は3時間半……長い……
ここから大倉尾根に入るが、ひたすらの急斜面。登ってくる人たちは汗だくの顔面蒼白。反時計回りだったらキツかったろうなと思う。
しかも長い。目安もない。時計でだいたいの位置を予測するしか出来ない。
最後の最後まで地獄のつづら折れ。終盤は立ち止まる回数が多くなった。
やっと階段が見えた。これで終わりだ。
12時、椹島で下山。もうこのときには脚が限界を迎えていて、座るのも立つのも痛々しいことに……
とりあえず、毎度のご褒美。カロリーと水分が一気に染みわたるようだ。
あとは昼食をとりながら14時のバスをのんびり待つ。この「14時のバス」っていうのが最終バスというのが、このエリアの時間的なハードルを上げている。
行きは酔いそうになったオフロードの揺れも、疲れ果てた身にはゆりかご。あっという間に気を失って、気付いたら畑薙第一ダム。
3連休最終日、東名道の渋滞に巻き込まれながらのんびりと帰った。
アクセスも登山も、全く楽ではない。
楽ではないけれど、それに見合う達成感と、雄大な自然に包まれることが出来る。しかも割とコアなエリアだからか、人も少ない静かな山行を楽しめる。ある程度経験値をつんだら、是非チャレンジしてみて欲しい。
ただ、1泊2日でテントは全くおススメしない……