屋久島といったら、「屋久杉」と思うのが一般的。「宮之浦岳」ととっさに思い浮かぶのは山好き。
この島の頂点、1912mは九州の最高峰です。そこへの長い道のりと、そこからの眺望の感動は今でも忘れられません。
この季節、このロングコースを日帰りしようと思うと、未明に宿を出ないとなりません。暗い中のワインディング、ときおり未舗装の道路をアメリカンで走るのは全行程含めて1番のスリルでした。
6:00~淀川登山口に到着。バイクだったからすんなり停められましたが、小さな駐車場はすでに一杯のようです。
今日はここをピストンします。最短のルートですが、それでも片道8km、往復16km。ソロには長めの距離です。
アタック開始。
序盤の記憶はほとんどありません。真っ暗な中をヘッドライトの明かりを頼りにたどっていきますが、登山道は「道」とはっきり分かるため迷う心配はほとんどないと思います。
6:45、淀川小屋。避難小屋です。
「水場」とあるので見に行ったら、ただの川という。そのくらい純度の高い自然が残されているということか。
徐々に日が当たってきました。
明るくなるにつれて分かってきた周りの景色が新鮮。そんなに数を登っていない僕ですが、杉がうねうねと土、岩に絡みつく景色は異様。
見晴台から朝日を眺める。いつの間にか随分と高いところにいたようです。
7:50、小花之江河。読めない。
さすがにこの時間帯になると太陽もだいぶ高くなってきて、コントラスト抜群。
8:00、花之江河。
まだ11月の下旬の鹿児島県なのに、木道は凍り付いていて軽くスリップ。本当に、一つの島に晩夏から冬まで凝縮されている。
この先、黒味岳の分岐があり、立ち寄ることもできましたがパスしました。今思えば余裕もあったし、登れば良かったかなとも思います。
こんな姿勢になっても踏みとどまっている。岩がちの土壌に必死に根を張る生命力、その姿が屋久杉。
その後、突然開けます。
8:40、投石平と呼ばれる場所です。名前の通り、巨石がばらまかれたような景色。
もうここからは天国です。脚が勝手に進んでいきます。
森林限界なのでしょうが、今まで観てきたものとはどこか違う……本当に、後にも先にも独特な爽快感がありました。
どういう作用でこんな形になったのか、このように残されたのか。
あれにいたっては、もはや人為的なものすら感じる。
長い長い登りも、もうすぐ終わりです。
10:00、宮之浦岳山頂。
ついに、日本最南端の百名山に登頂しました!
雨が基本と言われる屋久島の、初トレッキングにしてこの素晴らしい天気。ビギナーズラックです。(このツケ(?)は、翌日の屋久杉トレッキングで支払うことになります)
中には泣き出している女性までいました。言ってしまえば今まで通りの一つの山頂なのですが、なんとも形容しがたい感動が、僕にもありました。日本一周のクライマックスと言える瞬間でした。
ここで昨日仕入れたおにぎりとランチパックを食べて、下山開始。名残惜しい。
ピストンなので、基本的に途中までは同じ景色の繰り返しです。
ですが、登山口が近づくにつれて、朝には暗くて見えなかった、屋久島らしい景色が。
すごいなこれ。
場所が本州とかなら、これにも名前が付けられていただろうに……杉のメジャーリーグである屋久島においては、このレベルがごろごろと生えています。
屋久島の中で異彩を放つのはヒメシャラ。屋久杉に負けず劣らず、存在感を放っていました。
そんなこんなで、14:10、下山完了。
あぁ、楽しかった。ここはまた是非訪れたい。そしてその時は避難小屋で1泊しながら、縄文杉を経て白谷雲水峡まで縦走したい。みんなも連れて行きたい。
すべてがとても素敵で特別な登山でした。